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ヘアーズ 髪かわら版 第32号  2004年06月11日発行

ヘアカラー

 街には髪のさまざまなオシャレが氾濫しています。ヘアスタイルもさることながら、金髪、白
髪、赤、ピンク、等々、以前は、髪を染めるのは「白髪隠しの黒」と決まっていました。しかし今
では年輩の女性でも、白髪に紫やブルーを入れるなど、洋服と同じようにファッションの一部と
して楽しんでいます。
 昔から髪を染めることは、化粧と同様に行われ、紀元前3千年の古代エジプトでは、ヘンナ
(インドやエジプトに自生するミソハギ科の植物)を使って髪を染めていました。日本では明治の
中頃まで酢酸に鉄を溶かし、その水溶液にタンニンを混ぜ水に溶けない黒い化合物として歯
に塗る御歯黒(オハグロ)と同じ方法で白髪染めが行われていました。明治30年頃にパラフェニ
レンジアミンを用いた酸化染毛剤が開発されてからは、一般にこれが使用されるようになり今
日に至っています。さらに第二次世界大戦後、アメリカから持ち込まれた染毛剤を「おしゃれ染
め」と呼び、そのファッション性から日本人にも愛用されるようになり、特に1990年代半ばから
流行し、女性に於いてはヘアカラーをしていない人が珍しい時代となりました。

ヘアカラーの種類と特徴
 一口にヘアカラーと呼ばれていますが実は5種類に分類されています。
【酸化染毛剤】 アルカリ性酸化染毛剤と、酸性酸化染毛剤の2種類に分けられ、クリームタイ
プ・液状タイプ・粉末タイプ・エアゾールタイプなどいろいろな商品形態で、ヘアカラー・ヘアダイ・
白髪染め・おしゃれ染め・などと呼ばれています。 染毛のメカニズムとして、毛髪内部の酸化
染料が酸化重合し色素を形成します 。
長所…1回の使用でしっかり染まり、シャンプーしても色落ちしなく持続する。黒色の毛髪も明
るく染毛することが可能。 
短所…人によってはアレルギー反応により被れることがある。髪の手入れが十分でない場合、
髪を傷めるおそれがある。紫外線により色素が破壊し退色する。

【半永久染毛剤】
 ヘアマニキュア・カラートリートメントと呼ばれる物で、毛髪の蛋白質と酸性染料のイオン結合
で着色する。
長所…毛の痛みが少なく、軟毛の人などは硬くなるため、こしがついたような感じがする。
短所…色持ちは約2〜3週間と短い。シャンプーする毎に少しずつ色落ちし、汗などでも色が
落ちし衣服を汚すこともあるので注意が必要。黒色の髪を明るい色にはできない。皮膚に染ま
りやすく、取りにくい。使用を続けると毛髪が収斂し固くなる傾向が出てくる。ヘアトリートメント
などに含まれるカチオン物質により色落ちがある。

【一時染毛剤】
 カラースプレー・カラースティック・カラークレヨン等があり、着色剤が毛髪表面のキューティク
ルに色が附着する。
長所:手軽に使える。かぶれ、髪の傷みはほとんどない。一回のシャンプーで色が落ちる。
短所:汗などでも色が落ちる。

【植物性染毛剤】
 ヘンナ(ヘナ)とも呼ばれる自然派の染毛料が代表的です。髪のトリートメント剤として、インド
を始めヨーロッパなど世界中で広く利用されています。ヘンナに含まれるラウソンが髪のケラチ
ンと結びついて白髪を赤褐色(オレンジ系)に染め、元の髪色に赤褐色がプラスされ、ヘアマニ
キュアより色持ちします。染まる色合いや染まるために必要な時間は髪質によって違い、回数
を重ねると白髪も落ち着いた色合いになります。
短所…髪に優しいが、髪をコーティングしたのと同じ状態となり、パーマがかかりにくい。本物と
称し販売しているヘンナで、暗めに染まるものは「ジアミン」を混ぜているためカブレに要注意
です。植物性染料といえども体質によってはかぶれます。

【脱色剤】
 ヘアブリーチと呼ばれ、毛髪の天然色素(メラニン)を酸化脱色する。原料として、過酸化水
素水(オキシドール)を用いる。
長所…酸化染料が配合されていないため、かぶれを起こすことはほとんどない。髪質により色
のぬけ方が違い、日本人は赤系・黄色系になる。
短所…髪を傷めるおそれがあり、放置する時間によって色の度合が変わります。
ヘアカラー後、時間の経過と共に染めた髪の色があせてきます。この現象を褪色と呼びます。
この現象は、せっかく酸化重合(分子同士が結びつき巨大化すること)した酸化染料も紫外線
により分解され、分子同士の結びつきが弱くなり重合状態を保つことができなくなり、染料分子
は、キューティクルの間から毛髪のタンパク質と共に流れ出やすい状態となり、シャンプーの度
に徐々に色あせます。特に淡い色ほど顕著に現れるため、若い人の中で流行しているミルキ
ーピンクやパール系の淡いヘアカラーでは1回のシャンプーで色あせしてしまいます。同様に、
明るい白髪染めでも、毛髪中の酸化染料の分子量が不足してしまうため、酸化重合で巨大化
できないのが実情です。

☆ 注 目 ☆
 当店のヘアカラーは従来と比較して色持ちするカラーに変わりました。
 次号は、色持ちするヘアカラーのメカニズムです。
 
お断り
 この記事は2004年に書きました関係上、現在では本文に記載のなきヘアカラー剤が販売されています。
ご承知置きください。
  安藤眞夫



塩素系洗剤

 世の中には使い方を誤ると結構危険な商品があります。その一つにトイレの洗浄剤がありま
す。トイレの洗浄剤には塩素系洗剤が多くありますが、この手の洗剤のラベルには「混ぜるな
危険」という文字がデカデカと、それも赤い字で大書してあったりします。
 注意書には、酸素系の洗剤と混ぜてはいけないと表示されています。塩素系洗剤そのもの
が強力な力を持っていることは、トイレ掃除をすればよくわかります。便器にこびり付いて水で
はなかなか落ちない汚れも、トイレの洗浄剤を少し振りかけるだけで落ちるのだから、相当強
力な溶解力があるのです。鼻につくほどの刺激臭もするし、目がなんとなくしみてくるような気も
します。これだけで十分に強力です。
 では、この強力な塩素系洗剤に酸性系洗剤を混ぜるとどんな反応が起きるのでしょうか? 
まずは、鼻にツンとくる異臭が漂ってくるはずです。その異臭の正体が塩素ガス。塩素ガスは、
第一次大戦で、初めて兵器として用いられたことがある猛毒のガスです。
1リットルの空気に0.25ミリリットルの塩素ガスを加えただけで、30分もすれば犬が死にます。
人間の場合、まず目が遣られ、高濃度の塩素ガスを吸うことで気管支痙攣と呼吸低下が起こ
り、数秒間で死んでしまいます。実際、塩素系漂白剤で主婦が死亡する事故が起こりました。
幸いなことに、塩素系洗剤と酸性系洗剤を少し混ぜても、それ程純度の高い塩素ガスが発生
するわけではありません。すぐに死に至ることはないにしろ、気を付けて取り扱いたいもので
す。 
安藤加壽代



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